e-Legislation(電子化法制執務)とは?
e-Legislation(電子化法制執務)では、法令の立案・審査に関する法制執務をデジタル化することで、人がより高度な制度設計を議論することができます。立法過程を情報処理分野の枠組みに置きなおし、中間生産物や作業進捗を電子化して保持することで、業務が可視化され、人々が法令をより深く理解し、法制執務の過程をより正確で効率的に進めることができるようになります。
つまりe-Legislation(電子化法制執務)とは、政策の内容を論じるものではなく、主に表現方法や政策設計における設計作業の方法、そして条文の形式的記述方法を扱う概念です。
ポイント
- ・政策の内容を論じない
- ・表現・作業の方法を扱う
- ・法令の理解を助ける
- ・e-Legislationは概念
法制執務のデジタル化
自治体における法制執務、特に小さな地方自治体で多く見られるのが、制度設計上の高度な議論をあまり意識せずに、実際に例規作成の作業を行うケースです。例えば、法制執務と関係無い部署で働いていた職員が、移動の配属先で急遽例規作成の必要に迫られた時などです。このようなケースでは、技術的に何らかの支援があることはとても重要で、その一助を担うのが法制執務のデジタル化です。
デジタル化の対象
e-Legislation(電子化法制執務)におけるデジタル化の対象は、「データ」「知識」「ワークフロー」の3つです。
データ
政策立案時に用いる資料、議事録、要綱、法令など
知識
政策構造や法令記述方法等をモデル化したもの
ワークフロー
実際の作業の流れや作業手順など
デジタル化のメリット
法制執務をデジタル化することで受けられる恩恵は多岐に渡ります。
立法過程の正確性の向上
立法過程を正確に進めることができるので、条文の形式的エラーや記述漏れを減少させることができます。
客観化・可視化による気付きの促進
業務が可視化されることで立法過程を客観的に進められ、法政策案の隠れた欠点、利点に気付きやすくなります。
制度の流用
法令・例規の起案時に基となる法政策の知識構造が電子化されるので、ある程度の意味内容を保持して流用することができます。
政策立案参画者の増加
シミュレーションができるので、担当の職員だけでなく原課の職員もすぐに政策立案に参画できるなど、多くの人が法政策の立案に携わることができるようになります。
立法作業の工学化
立法作業が数学や情報処理技術の概念で扱うことで、人手をより高度な政策設計に向けることができるようになります。